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【書評】普通の人でも株で1億円!エナフン流VE投資法

過去記事で書評した「普通の人だから勝てる エナフン流株式投資術」に引き続き、「普通の人でも株で1億円!エナフン流VE投資法(以下、エナフン流VE投資術)」を読みましたので、書評を書いておきたいと思います。

▼「普通の人だから勝てる エナフン流株式投資術」の書評はこちら
【書評】普通の人だから勝てる エナフン流株式投資術

本書では、前著「普通の人だから勝てる エナフン流株式投資術」で紹介されていたバリューエンジニアリング投資(VE投資)が、より詳しく解説されています。

前著と本書の2冊を両方読むことで、VE投資についてより理解が深まり、実践的に使えるようになります。

以下、「普通の人でも株で1億円!エナフン流VE投資法」の要点と書評になります。

「普通の人でも株で1億円!エナフン流VE投資法」の要点

実績PERと予想PERの違い

実績PERとは、現在の株価を直前の決算期の一株あたり当期純利益(実績EPS)で割って算出したもの。

一方、予想PERとは、現在進行中の決算期(今期)に稼ぎ出すと予想される一株あたり当期純利益(予想EPS)で割って算出したもの。

一般的には、企業の売上は年々増えていくので、EPSも年々増えていく。なので、予想PERは実績PERよりも低くなる傾向がある。ゆえに、実績PERだと割高に見えても、予想PERだと割安だったりする。

予想PERには、企業自身が算出した予想PERと、アナリストが算出した予想PERがある。どちらも当たるとは限らない。

結局は、自分自身で予想PERを算出し、それが割安であれば投資する他ない。

バリューエンジニアリング(VE)とは?

VEでは、バリューを以下のように定義する。

  • V(価値:バリュー)=F(機能:ファンクション)÷C(費用:コスト)

要するに、コストあたりの機能が多いほど価値があると考える。

バリューを向上させるには、以下の5つのパターンがある。

  1. 同じ機能のものを低コストで提供する
  2. より優れた機能を持ったものを、より低コストで提供する
  3. 同じコストで、より優れた機能を持ったものを提供する
  4. 少々コストが上がっても、さらに優れた機能を持ったものを提供する
  5. 機能を最低限に削ぎ落とし、価格を極端に下げる

以上。
表でまとめると、以下のようになる。

1

2

3

4

5

F(機能:ファンクション)

↑↑

C(費用:コスト)

↓↓

VE投資とは?

VE投資とは、VEの考え方を投資に応用したもの。

VEの考え方を投資に当てはめると、以下のようになる。

  • V(上昇可能性)=I(本質的価値)÷P(株価)-1(投資元本)
    ※VはValue、IはIntrinsic value、Pはstock Priceの略。

例えば、ある企業の本質的価値が1500円で株価が1000円だった場合…

1500÷1000-1=0.5

となり、上昇可能性は50%となる。

逆に、本質的価値が1000円なのに、株価が2000円だった場合…

1000÷2000-1=-0.5

となり、-50%の下落可能性があると判断できる。

VE投資で割安度が向上する5パターン

VE投資で割安度が向上(バリューが向上)するのは、以下の5パターン。

  1. 本質的価値は変わらないのに株価が下がる
  2. 本質的価値は拡大しているのに株価が下がる
  3. 本質的価値は拡大しているのに株価が変わらない
  4. 本質的価値は大幅に拡大しているのに、株価の上昇が追いついていない
  5. 本質的価値は下がったが、それ以上に株価が下がる

以上。
表でまとめると以下のようになる。

1

2

3

4

5

I(本質的価値)

↑↑

P(株価)

↓↓

本質的価値と株価のズレ(バリュー)を見つける3つの方法

誰も興味を持っていない株

誰もが投資しているような大型株は、多くの人が分析に分析を重ねて投資しているので、概ね正当な株価(本質的価値に近い株価)がついていると考えられる。

一方、誰も見向きもしないような株(例えば造園業など)は、本質的価値と評価との間にズレがある可能性が高い

秩序が崩れるとき

リーマンショックやコロナショックなど、人々が秩序を失い、冷静な判断ができないとき、本質的価値と株価の間にずれが生じる。(パニック売りが起こるため)

想像を超える企業

人々の平均的な想像力を超えて成長する企業は、本質的価値と株価の間にずれが生じる。たとえば、初期のアマゾンやグーグルのような企業はこれに該当する。

一般的に、新しい変化を取り入れて、人々の想像を超えて成長するような企業は、チャレンジングな小さい会社に多い。平均以上に先を読む力があれば、こういった株を捉えられる。

まとめると…

  1. 小型株(誰も見向きもしないような株)
  2. パニック(秩序が崩れるときを狙う)
  3. 平均以上の想像力(人々の想像を超えて成長する企業)

以上3つがバリュー株を見つける際のポイントになる。

平均PERについて

TOPIXの平均PERは15前後。よって、バリュー株を探す際は、PER15以下を一つに基準にするという考え方はOK。

しかし、平均PERは業種によっても違う金利によても変わる。それらも考慮する必要がある。

日経平均と比較してどうか?業界平均と比較してどうか?競合企業と比較してどうか?金利水準はどうか?というように、多角的に評価する必要がある

本質的価値を決める2つの要因

株価は以下の式で算出される。

  • 株価=EPS✕PER

もし、現在のPERが将来性を十分に加味しておらず、EPSが一時的な損失要因で低くなっている場合、それらが改善されると、PERの水準訂正とEPSの水準訂正によって、株価(本質的価値)は大幅に上昇する。

バリュートラップの回避法

単なる割安株に投資した場合、ずっと割安なまま株価が上がらないというバリュートラップにハマる可能性がある。

しかし、割安かつ成長株に投資した場合、株価が上がらない間も業績は向上しているので、割安さは拡大し続けていることになる。いつかの時点で、大幅な割安さと成長性が投資家の目に止まり、株価が上昇する可能性が高い。

なので、バリュートラップを回避するには、割安さだけではなく、その株が成長株かどうかも確認する必要がある

PEGレシオとは?

PEGレシオは以下の式で算出される。

  • PEGレシオ=PER÷当期純利益の成長率(年率)

PEGレシオが1以下なら割安1以上なら割高と判断する。

正直、全然関係ない数値同士を割って算出するPEGレシオの妥当性がよくわからないが、計算してみるとPEGレシオ1以下は割安と判断していいことがわかる。

たとえば、PER50でEPSの成長率50%、PEG1の場合を考えてみる。(EPSは当期純利益÷発行済み株式数で算出できる。よって「当期純利益の成長率=EPSの成長率」と考えて良い)

EPSが100円、株価が5000円とすると、PER50となるので、例としてこの数値を採用する。

通常、PER50はTOPIXの平均PER15と比較して高すぎるので手が出せないが、当期純利益の成長率が50%でPEG1だった場合、3年後のPERは以下のようになる。

0年目
EPS100円
株価5000円
PER=50
※PEG=1(翌年EPS50%増と仮定。PER50÷EPS成長率50%=1)

1年目
EPS150円(昨年比50%増)
株価5000円(株価は固定)
PER=33.333…
※PEG=0.66(翌年EPS50%増と仮定。PER33÷EPS成長率50%=0.66)

2年目
EPS225円(昨年比50%増)
株価5000円(株価は固定)
PER=22.222…
※PEG=0.444…(翌年EPS50%増と仮定。PER22÷EPS成長率50%=0.44)

3年目
EPS337.5円(昨年比50%増)
株価5000円(株価は固定)
PER=14.814…

以上。
一見、PER50は高すぎるようにみえるが、毎年当期純利益が50%で成長すれば、3年後はある程度妥当なPERになる。

もし、1年目のPER50のときに投資して、3年後もPER50(投資家の期待)のままであれば、337.5円✕PER50=株価16875円となり、0年目と比較して株価は約3.375倍になる。株価が5000円のまま動かなければ、3年後はPER14.814…という妥当な株価で株を保有できている状態になる。

ちなみに、毎年PEG=1の状態を継続する場合で考えると…

0年目
EPS100円
株価5000円
PER=50
※PEG=1(翌年EPS50%増と仮定。PER50÷EPS成長率50%=1)

1年目
EPS150円(昨年比50%増)
株価5000円(株価は固定)
PER=33.333…
※PEG=1(翌年EPS33%増と仮定。PER33÷EPS成長率33%=1)

2年目
EPS199.5円(昨年比33%増)
株価5000円(株価は固定)
PER=25.062…
※PEG=1(翌年EPS25%増と仮定。PER25÷EPS成長率25%=1)

3年目
EPS249.375円(昨年比25%増)
株価5000円(株価は固定)
PER=20.05…

となる。
毎年PEG=1と仮定する場合、EPS成長率は毎年鈍化することになるが、その場合でも3年後はある程度妥当なPER20.05…で株を保有できていることになる。もし、3年後もPER50のままであれば、株価は12468.75円になる。0年目と比較すると株価は約2.5倍になっている。

その他の例は以下の通り。

PEGレシオによるPERの変化例

VE投資の5原則

①2倍高以上狙える株のみ投資する

投資家の期待値の幅(PERの振れ幅)は大きい。3年後に10〜20%上昇しても、PERが30%下がっていれば利益はない。
よって、PERの振れ幅に飲み込まれないよう、少なくとも2倍高以上狙える銘柄にのみ投資する。

②3〜5年長期保有する

個人投資家はデイトレーダーではない。日々の株価の上げ下げに振り回されず、長期投資で勝負する。

③5〜10銘柄に集中投資する

資金が少ないうちは集中投資しないと効率的に資産を増やせない。また、10銘柄以上だと管理できない。

④先の明るい銘柄にのみ投資する

割安株✕成長株に投資することで、バリュートラップ(いつまでも割安なままの株に投資してしまうこと)を避ける。

⑤ボーナスポイントになりそうな材料を探す

カタリストを見つける。早期に株価上昇しそうなキッカケを見つける。バリュートラップを避ける効果もある。

小型株に投資すべき理由

時価総額1兆円の企業が、さらに10兆円企業に成長するのは稀。なぜなら、すでに時価総額1兆円の企業が売上を数倍に増やすのは難しいから。また、多くの投資家が投資しているので、PERの評価が大きく上がることも少ない。

一方、時価総額50億円企業が500億円企業に成長することはよくある売上増加が株価に与えるインパクトが大きいし、小型株は見過ごされている事が多いので、割安で買いやすい。

大化けを狙うなら、小型株投資。

VE投資の売却ルール

  1. 先が暗くなった場合
  2. 十分に割高になった場合
  3. 他にもっと良い銘柄を見つけた場合

他の投資法をまぜない

デイトレード、スイングトレード、オニール式投資法(新高値投資法)など、投資法にはいろいろあり、それぞれルールが違う。

オニール式投資法✕VE投資法や、デイトレード✕VE投資法というように、投資法を混ぜてしまうとうまくいかなくなる。

たとえば、長期投資でappleに投資したのに、オニール式投資法の7%損切りルールを採用してしまっては、過去10年の間に何度も損切りして資産を減らすことになる。だまって10年保有していれば大きな利益を得られたのにも関わらず。

なので、投資法は混ぜないこと。VE投資をするなら、VE投資のルールに則ってやる

「普通の人でも株で1億円!エナフン流VE投資法」読了後の感想

実は、もうかれこれ投資本を100冊以上読んでいるのですが、なぜか自分で投資銘柄を選べるようにはなりませんでした。その理由が、本書を読んでわかりました。いろんな投資法の知識が頭の中であれこれ混ざって混乱していたからですね。

なんとなく、A投資法のいいところと、B投資法のいいところをかけわせれば、更に良いC投資法が編み出されるのでは?なんて考えて、いろんな投資本を読み漁っていたのですが、むしろ弊害が多いようです。

私はエナフン氏のVE投資法に強く惹かれました。論理的で実践的なバリュー投資法だと思います。

ですので、今後は他の投資法に浮気せず、VE投資法に則って投資していきたいと思います。

参考記事

【書評】普通の人だから勝てる エナフン流株式投資術

参考文献

-投資, 投資本の書評

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